文学

人間と時間

人間と時間 #19 ドリアン・グレイの肖像
イメージ いつまでも若いままでいたい。それは男女問わず多くの、いや、ほとんどすべてといっていい人の願いではないだろうか。健康な体、シワのない肌、旺盛な好奇心、そして未来への限りない可能性。生命に輝きをもたらすものを「力」と呼ぶのなら、若さこそが正に力であることを私たちは知っている。同時に、それがいつか失われてしまうことも。花は散るから美しい。だがもしも、永遠に咲き続ける花があったとしたら、その先には何が待ち受けているだろうか。オスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』には、その答えの一つがある。
人間と時間 #18 クリスマス・キャロル
イメージ いよいよ大詰めを迎えた2018年。年初に立てた誓いや目標は、どれくらい達成できただろうか。「今年こそは○○をしよう」「こんな生活を送ろう」という当初の意気込みもどこへやら、気づけば去年と同じような一年だという人も、きっと、少なくないに違いない。生き方を変えるのは難しい。日々の習慣や物の見方、考え方というものは年を重ねれば重ねるほど、長く生きれば生きるほど、強固な枠組みとなって私たち自身を規定する。人生はこんなものだ、と。そんな私たちに出された処方箋、それがディケンズの『クリスマス・キャロル』(村岡花子訳 新潮文庫)だ。
人間と時間 #17 三四郎
イメージ 熊本から上京した青年 三四郎の青春、特にその恋愛と失恋を描いた『三四郎』は明治41年に朝日新聞に連載された、夏目漱石の長編小説である。誰もが経験する青春時代の戸惑いや不安が漱石一流の筆致で活写され、その瑞々しさは発表から百年以上を経たいまも一向に失われていない。
人間と時間 #14 徒然草
イメージ 「つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて…」からはじまる『徒然草』は、吉田兼好が48、9歳の頃に書かれた随筆である。50歳手前の働き盛りなのに「つれづれ(=何もすることがない)」なんて……と思うかもしれないが、そこは今から700年も前のこと。当時の平均寿命がおよそ30歳だったことを考えると、50歳手前は立派な老境だといえる。兼好自身、「四十そこそこで死ぬのが無難」とまで言っているのだから、何もすることがなくても不思議ではない。
人間と時間 #12 失われた時を求めて
イメージ 時間について考えるのであれば、プルーストの『失われた時を求めて』をはずすわけにはいかない。すこし大げさに言えばそれは、聖書を読まずにキリスト教を理解しようとするようなものだ。とはいえ、『失われた時を求めて』はフランス語の原文で3千ページ以上、日本語訳では400字詰めの原稿用紙で1万枚以上の大作。そう簡単に読めるものではない。でも読みたい。せめて、大体どんな話かだけでも知りたい。鈴木道彦著『プルーストを読む―『失われた時を求めて』の世界』(集英社新書)は、そんなわがままに応えてくれる一冊だ。『失われた時を求めて』の個人全訳を完成した著者が、重要なテーマや登場人物について紹介・解説してくれる。
人間と時間 #09 「時間どろぼう」は何をぬすんだのか
イメージ 『モモ』はおそろしい物語である。そこに描かれているのは現代の社会そのものだ。効率を追い求めて想像力を失い、他人を思いやる心を忘れ、「いま」を楽しむことのできなくなった私たちひとりひとりだ。
人間と時間 #06 時よ、とどまれ、おまえはじつに美しい
イメージ 「時よ、とどまれ、おまえはじつに美しい」。 ゲーテ作 池内紀訳『ファウスト(集英社文庫)』を紹介するコラムです。管理される時間から、自ら生み出し構築する「時間」へ。JMAMのお届けするWebマガジン『時間デザイン』

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