人間と時間

#05

メインビジュアル

あなたにもわかる相対性理論

「相対性理論」という言葉を聞いたことがない人は少ないだろう。それがドイツ生まれの物理学者、アインシュタインによるものだということも。しかし、どんなものかと聞かれると「……」となるのが実情ではないだろうか。そんな方に手に取ってほしいのが茂木健一郎著『あなたにもわかる相対性理論』(PHP研究所)だ。「アインシュタインの伝記を読んで科学者を志した」と語る著者が、相対性理論の骨格とアインシュタインの魅力を、タイトル通りわかりやすく教えてくれる。ここでは本書にある「時間の遅れ」についてご紹介しよう。

高速で移動している物の時間はゆっくりと進む。これが「時間の遅れ」だ。なぜこんなことが起こるのか。それを理解するためには、まず「光はどんな運動をしている人から見ても同じ速度で進む」ということを知っておく必要がある。これを「光速度不変の原理」という。

まずは一般的な物体の運動を考えてみよう。時速100㎞で走る電車から見た場合、同じ方向に走る時速80㎞の車は、時速20㎞で逆方向に走っているように見える。電車の時速が50㎞になれば、車は同じ方向に時速30㎞で遠ざかっていく。しかし光にはこれがあてはまらない。電車の時速が100㎞だろうと、50㎞だろうと、マッハ10だろうと、光は必ず秒速30万㎞で進んでいくのだ。「光速度不変の原理」は観測によってはっきりと確かめられている。

イメージいま、光の往復によって時間をはかる「光時計」を考えてみよう。砂時計のような箱の底面から真上に発射された光が、箱の天面で反射され、また底面に戻ってくるという仕組みだ。光は1秒間に約30万㎞進むので、この箱の高さを15万㎞(!)にすれば、光が一往復した瞬間に「1秒」がたったことになる。この光時計で、地上に立っているAさんと、超高速で走る電車に乗ったBさんがそれぞれ「1秒」を計ったらどうなるだろうか。

電車が停止している時、二人の光時計の動きは同じだ。どちらも光は底面から真上に進み、反射されて真下に帰ってくる。では、電車が走っていると(※)どうなるか。電車のBさんから見ると、光の動きは止まっている時と変わらない(図1)。しかし、地上に立っているAさんから見ると、Bさんの光時計は電車と共に動いているため、光が底面から斜め上に進み、反射されて斜め下に帰ってくる(図2)。つまり、光の移動する距離が長くなるのだ。

イメージここで、「光速度不変の原理」を思い出そう。光の速度が変わらないとすると、進む距離が長くなれば、それだけ時間がかかることになる。Aさんから見ると、自分の光時計の光が一往復した時、Bさんの光時計はまだ底面に到着していない。つまりAさんから見ると、電車の中の「1秒」は、地上の「1秒」よりも長いのだ!

高速で移動している物の時間はゆっくりと進む。これを利用すれば、いずれ、玉手箱を開けなくても、浦島太郎になれるかもしれない。超高速で飛ぶロケットで1年ほど宇宙旅行をすれば、地球では100年ほど時がたっているだろうから。ま、なりたいかどうかは別として。

※等速度運動の場合

関連タグ

この記事をシェア

  • tweetする
  • シェア
INDEX